1. 胃ろう造設の時期について

胃ろうの造設は、早めに行うことが推奨されています。具体的には、以下のような症状や状態が目安となります。

  • 嚥下(のみ込み)障害と体重減少: 食事量の減少、食事時間の延長、むせなどの初期症状が見られたり、病前体重の10%以上の減少、またはBMIが18.5 kg/m2を下回ったりしたときが世界的な判断基準とされています。
  • 呼吸機能が保たれている時期: 胃ろう造設において最も重要なのはタイミングです。一般的に、努力性肺活量(FVC)が50%以上で、呼吸機能に障害があらわれる前に造設することが推奨されています。
  • 呼吸機能が低下した後の造設: 呼吸機能がすでに低下している(FVCが50%未満など)状態で胃ろうを造設すると、呼吸不全が一気に悪化し予後を縮めるリスクがあります。ただし、その場合でも、鼻マスク等での非侵襲的換気療法(NIV/NPPV)を併用することで、安全に造設できることが示されています。

きっかけとして、最初に誤嚥性肺炎を起こして入院した時になることが多いかと思います。

2. 胃ろうの代替手段について

胃ろうが難しい場合や希望しない場合の代替手段として、以下の方法があります。

  • 経鼻胃管(経鼻経管栄養)
    • 特徴: 鼻から胃へ細いチューブを通し、栄養や水分を注入する方法です。
    • メリット: 手術を必要とせず、ベッドサイドで患者さんの全身状態に関わらず実施可能です。
    • デメリット: 頻繁なチューブ交換が必要であり、チューブ挿入時の気管への誤挿入のリスクがあります。また、顔面にテープで固定するため違和感が強く自分で抜いてしまうことが多いほか、長期間の使用で鼻に潰瘍ができたり、逆流や唾液とともに細菌が肺に流れ込む「誤嚥性肺炎」のリスクが高くなったりします。さらに、呼吸補助のためのマスク(NPPV)の使用に支障をきたすことがあります。また私個人の体験から言うと経鼻経管は非常に不快なので、お勧めしにくいです。同じように鼻から内視鏡を入れて嚥下を診る検査を受けたのですが、内視鏡を入れている間ずっと、えずいてしまって涙ボロボロでした。この状態でご飯を食べるのは無理だと思い、私は時期が来たら胃瘻造設するつもりです。
  • PTEG(経皮経食道胃管挿入術)
    • 特徴: 首もとから食道を通り、胃腸へと細長いチューブを通す方法です。
    • メリット: 呼吸機能が悪い、腹水がある、内視鏡が飲めない、体の変形が強いなどの理由で胃ろう(PEG)の造設が困難な場合の選択肢となります。造設後も口から食事をとることが可能で、湯船につかったりシャワーを浴びたりといった入浴も制限なく自由に行えます。
    • デメリット: 造設手術時のトラブル(出血、創感染、縦隔炎、肺炎など)や、長期経過の中でのチューブの閉塞、抜去事故などのリスクがあります。
  • 中心静脈栄養(高カロリー点滴)および CVポート造設
    • 特徴: 心臓近くの太い血管(中心静脈)にカテーテルを留置し、長期間にわたり十分な栄養を点滴する方法です。胃瘻も経鼻胃管も希望しない場合などに検討され、毎回の針刺しの苦痛や管理の負担を軽減するために、皮膚の下に「中心静脈ポート(CVポート)」を作製することもあります。
    • メリット: 長期的に必要な量の栄養を補給することが可能です。
    • デメリット: 腸管を使わないため、消化管由来の免疫力が得られず感染症に弱くなる懸念があります。また、カテーテル感染や血栓形成、敗血症などの重篤な合併症のリスクがあり、長時間の点滴が必要で日常管理も難しくなります。
  • 末梢静脈点滴
    • 特徴: 手足の静脈から点滴を行う方法です。
    • メリット・デメリット: およそ2週間以内の短期的な水分や栄養補給は可能ですが、長期的に十分な栄養を摂ることはできません。また、点滴の針を刺される苦痛があります。

ALSの進行度や現在の呼吸・全身状態によって最適な方法は異なりますので、主治医や医療スタッフとよく相談しながら選択していくことをお勧めします。