【重要】熊本南病院の被災・閉院検討報道を受けて|神経難病患者・ご家族の命と生活を守るために

2026年7月28日の熊本地震により甚大な被害を受けた「独立行政法人国立病院機構 熊本南病院」(宇城市松橋町)について、現在、診療停止が続くなか、国立病院機構本部において「閉院」も含めた対応が検討されているとの報道がありました。

熊本南病院は、県南地域をはじめ熊本県全体の神経難病医療を長年支えてくださってきた中核病院です。今回の事態は、私たちALS(筋萎縮性側索硬化症)をはじめとする神経難病の患者やそのご家族にとって、日々の命と生活を揺るがす極めて深刻な問題です。

現在の状況と公式案内、そして当支部の役員としての思いをまとめました。

1. 熊本南病院の現状と報道内容

熊本南病院は、地震により建物1階の柱が大きく損傷・損壊し、配管破損や断水・停電が発生しました。安全確保が困難となったことから、入院患者127人全員が他の医療機関へ転院となり、現在は外来・入院ともにすべての診療が休止されています。

【報道記事からの引用】 「2026年熊本地震で被災し病院機能を停止している宇城市松橋町の国立病院機構熊本南病院が閉院する可能性があることが26日分かった。建物の損傷や医療機器の破損など被害が大きく、再建のめどが立っていないという。(中略) 高橋院長によると、現時点で診療再開の見通しは立っておらず、国立病院機構本部が閉院も含めて今後の対応を検討している。高橋院長は熊日の取材に『厳しい状況だが、再建の可能性も否定せずに対応したい。再建する場合でも数年はかかるだろう』と述べた。」

(引用元:熊本日日新聞 / Yahoo!ニュース 配信記事より)

2. 脳神経内科の診療体制・紹介状等の対応について

現在、熊本南病院の敷地内は立ち入り禁止となっており、窓口での対面交付は行われていません。診療情報提供書(紹介状)の発行や他院への情報提供、臨時外来について、病院公式サイトより以下の通りアナウンスされています。

【熊本南病院 公式サイトより引用】 「脳神経内科の診療について、地震被災によりすべての診療を停止しております。当科の外来患者数・被災前の入院患者数がかなり多いため、他院へご紹介するための診療情報提供書の発行・送付が、問い合わせ・ご要望に追い付いていない状況であり、大変ご迷惑をおかけいたしております。また、問い合わせのお電話自体もつながりにくい状況が発生しており、申し訳ございません。

敷地内立ち入り禁止となっておりますため、作成した診療情報提供書を直接患者さんに交付することができませんので、ファックスで紹介先へ直接情報提供をさせていただいております。紹介希望の患者さんは、当院にご連絡の上、ご希望の紹介先をお伝えください。

熊本県内で受診いただける、紹介先の脳神経内科専門医療機関につきましては、「熊本大学脳神経内科」のウェブサイト内にございます、「関連病院」のサイト(https://kumadai-neurology.com/hospitals)をご参照ください。受診される前に、各医療機関の業務時間内にお電話等で問い合わせの上、受診可否・受診可能な日時を確認いただきますようお願いいたします。医療機関によっては、診療情報提供書(紹介状)の持参がない場合には初診時選定療養費をご負担いただく必要のある医療機関がありますので、十分ご確認ください。

なお、令和8年9月3日より、同年11月26日まで、

医療法人城南ヘルスケアグループ くまもと南部広域病院

住所:熊本県熊本市南区城南町舞原無番地

電話:0964-28-2555(代表)

にて、毎週火曜日・木曜日に熊本南病院脳神経内科医師(火曜日:永利、木曜日:阪本)の派遣による外来診療を行う予定としております(予約制)。

※予約に関するお問い合わせは、くまもと南部広域病院までお願いいたします。(後略)」

(引用元:独立行政法人国立病院機構 熊本南病院 公式サイト)

※最新の電話対応や診療再開に関するお知らせは、熊本南病院公式サイトを随時ご確認ください。

3. 南病院の存続危機がもたらす、患者・家族への影響

もし熊本南病院がこのまま閉院することになれば、患者と家族にとって計り知れない打撃となります。

① 県南地域の「レスパイト入院」の受け皿喪失

NPPV(非侵襲的陽圧換気)やTPPV(気管切開下人工呼吸器)の管理、頻回な喀痰吸引を必要とする患者は、一般的な介護保険施設や療養施設でのショートステイ受け入れが極めて困難です。在宅療養を支えるご家族の休養(レスパイト)や冠婚葬祭などの緊急時において、熊本南病院はまさに「頼みの綱」でした。

② 療養介護病棟(約30床)の喪失

進行に伴い在宅生活の継続が困難になった際、安心して長期療養できる療養介護病棟の約30床が失われることは、これからの療養先を考えていた患者・ご家族にとって行き場を失うことを意味します。

③ 災害時・緊急時の「絶対的な安心」が消えてしまうこと

私事になりますが、10年前の熊本地震の際、自宅(熊本市南区)が停電し人工呼吸器(NPPV)が使えなくなったとき、深夜1時すぎに母を車に乗せて駆け込み、避難入院を受け入れてくださったのが熊本南病院でした。

「何かあったとき、あそこに行けば専門医とスタッフが助けてくれる」という絶対的な安心感が近くにあるのと、遠くにしかないのとでは、日常の在宅療養における心理的負担が天と地ほど違います。熊本南病院は、単なる一病院ではなく、地域で暮らす私たち難病療養者の命を守る「核」なのです。

4. 結びに:今、声を上げなければならない

地域医療の復旧なくして、難病患者やその家族の生活再建はあり得ません。

被災建物の復旧や再建費用、人員確保など、極めて高いハードルがあることは重々承知しています。しかし、このまま地域の神経難病医療の拠点が失われてしまえば、在宅療養そのものが立ち行かなくなる家庭が必ず出てきます。

一患者・家族として、そして日本ALS協会熊本県支部として何ができるのか、模索しながらではありますが、まずはこの切実な現状を伝え、地域医療の拠点存続を訴える「声」を上げ続けることが必要だと強く感じています。

行政、関係機関、そして地域の皆様におかれましては、神経難病患者がこれからも住み慣れた地域で安心して命をつなぐことができるよう、既存の枠組みにとらわれない手厚いご支援と再建への道筋を強くお願い申し上げます。