【活動報告】パーキンソン友の会絵画教室に参加してきました 〜神経難病と表現・絵画リハビリの力〜
9月13日、大江の熊本市障がい福祉センター希望荘にて熊本県パーキンソン友の会が主催された「絵画教室」に、ALS協会熊本県支部からも参加させていただきました。

講師を務められたのは、長年神経難病医療に尽力されてきた脳神経内科医であり、元国立病院機構熊本南病院院長の植川和利先生です。教室の冒頭では、植川先生より「神経難病と絵画リハビリ・創作活動の魅力」と題した貴重なご講演をいただきました。
今回は、そのご講演の要約と、熱気あふれる絵画教室当日の様子をお届けします。
植川先生のご講演要約:神経難病と絵画リハビリテーション
植川先生は熊本南病院時代から、ALSやパーキンソン病などの神経難病患者さんの診療に深く携わってこられました。その歩みの中で実感された「絵を描くこと」「自己表現すること」の医学的・心理的な意義についてお話しいただきました。

1. 「受動的」から「能動的」なリハビリへ
リハビリテーションというと「専門職にしてもらうもの」と捉えがちですが、本質的には「自ら何かをやろうとする意欲」がなければ十分な効果は得られません。 絵を描く行為は、
- 目で見る(観察・イメージ)
- 脳で考える(構想・色彩の選択)
- 手を動かす(運動機能)
- キャンバスの状況を見て修正する(フィードバック)
という一連の高度な脳トレ・感覚運動の連続です。この能動的なプロセスこそが、素晴らしいリハビリテーション効果をもたらします。
2. ALS療養生活におけるITと創作の広がり
先生が関わってこられたALS患者さん(田崎由美さん)の事例も紹介されました。まだ難病療養の環境が整っていなかった時代から、パソコンや入力装置を活用してデジタル絵画を描き、多くの人へメッセージを発信されたエピソードです。当県支部ホームページのトップ画像にも田崎さんのイラストが使われています。 人工呼吸器を着けていても、身体の自由が制限されても、「表現したい」という心は自由であり、創作が生きる力やQOL(生活の質)の向上に直結することを教えていただきました。
3. パーキンソン病と「ドパミン」「創作意欲(絵心)」
パーキンソン病の治療薬(ドパミン補充)と創作意欲には興味深い関係があります。ドパミンは運動の調整だけでなく、意欲や情熱にも深く関わっています。適切な薬のコントロールによって眠っていた「絵心」や「表現力」が刺激され、入院をきっかけに突如として素晴らしい油絵を描き始めた患者さんの事例も紹介されました。 病気による制約のなかでも、創作を通じて内に秘めた思いを発散・昇華することができます。
4. 上手・下手ではなく「心の宇宙」を表現する
「絵画教室だからといって、最初から完成された作品や名画を目指す必要はありません。キャンバスは自分の自由な宇宙です。落書きのつもりで、いまの自分の気持ちを思いきりぶつけてみてください」と植川先生は受講者にエールを送られました。
教室の様子:静けさの中の集中、そしてカラフルな個性
ご講演のあとは、いよいよ実践の時間です。植川先生がご用意くださったキャンバスや絵の具、筆を手に、皆さん思い思いに筆を走らせ始めました。

描き始めると、会場は先ほどまでの和やかな談笑から一転。 みなさん驚くほど楽しそうに熱中され、ほぼ無言のままキャンバスに向き合って集中しておられました。
筆を動かす手先の感覚、絵の具の混ざり具合、思い描いた色がキャンバスに乗る瞬間――会場全体が心地よい創作の熱気に包まれていました。
個性豊かな作品と記念撮影

最後に、仕上がった作品を一堂に並べて記念撮影を行いました。
並べられたキャンバスは、一人ひとりの感性やいまの気持ちが色鮮やかに映し出され、どれ一つとして同じもののない、カラフルで個性あふれる作品ばかり。参加された皆さんの表情には、やりきった充実感と笑顔があふれていました。
参加を終えて:病気は違っても、通い合う想い
今回、パーキンソン友の会の皆様とご一緒させていただき、疾患の枠を超えて「生き生きと自分らしく表現する時間」の尊さを改めて実感しました。
ALSにおいても、手足や声の自由が制限されていく中で「自分をどう表現するか」「社会や人とどうつながり続けるか」は大きなテーマです。視線入力装置やスイッチを使ったデジタルアート、あるいは言葉の表現など、形は違えど創作がもたらす心の力は共通しています。
温かく迎えてくださった熊本県パーキンソン友の会の皆様、そして素晴らしいご指導と画材のご準備をいただいた植川先生に、心より感謝申し上げます。
熊本県支部でも、こうした「自分らしさを表現し、仲間とつながる活動」を大切に広げていきたいと思います。


